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【読書】人間は生存競争の過程でバカになった。

更新日:8月14日


能力の高い者は自分のことを過小評価するのに対して、能力の高い者は自分を過小評価するらしい。

ダニング・クルーガー効果と呼ばれ、研究で明らかにされている事実である。

一言で言うならば「バカは自分のことをバカだとは思っていない。なぜならばバカだからだ」

こんな身も蓋もない言い方になってしまうが。

人間の本性とは本来バカなのではないだろうか。

本書ではバカと無知を題材に人間の本性を明らかにしていく。

  • 人間は自尊心を守るためだったら、死に物狂いになる。

  • 差別と偏見を意識することで差別と偏見は加速する。

  • トラウマとPTSDは作られた記憶である。


中でも一番興味深かったのは「すべての記憶は作られた記憶である」という話だった。

以前何かの本で読んだ「認知的不協和」という心理的要因にも通じる話だと感じた。

捕虜になったアメリカ兵を共産党支持者に仕立て上げた中国共産党の手法が「認知的不協和」を利用したものだったのだ。

人間は自分の行動と気持ちが一致しない時に行動に気持ちを近づけ、不協和を解消しようとするのだ。

自分の行動は強制労働や他者との関係性の中で変えられないとしたら、自分の気持ちを変えて自分の行動を正当化しようとする意識が働くらしい。

自分に置き換えてみると二日酔いの時に「最近飲みすぎているから、今日は晩酌を控えて、早く寝よう」などと思っていても、夕方になると「毎日飲んでいる人でも、健康な人は山ほどいる」などと考えて飲んでしまうのは、自分の中で認知的不協和が働いているのかもしれない。

自分が絶対だと思っている記憶が自分の都合のいいように作られているとしたら、人間ほどご都合主義な生き物はいないだろう。

しかし、記憶が都合のいいように作られているからいけない!などというつもりはない。なぜならば人間は生存競争を勝ち抜くためにご都合主義にならざるを得なかったのだから。

つまるところ、「人間の本性(本性)=バカと無知」このことを意識すれば、人々は皆謙虚に生きられるのではなかろうか。

自分は賢いと思った時点で、人間としての衰退がはじまるのだろう。

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